管理人タケ
この記事では
”セブン&アイHD買収騒動”
についてわかりやすく解説します
セブン&アイHDの買収騒動とは
2024年8月19日。
セブンアンドアイ・ホールディングス(以下セブン&アイHD)はカナダのコンビニエンスストア大手、「アリマンタシォン・クシュタール」から買収提案を受けたと発表しました。
それまでセブン&アイHDの株価は1,700円台を推移していました、場中である13時頃に発表されたことにより株価は一気に高騰し、一時2,100円を越えストップ高となりました。
アリマンタシォン・クシュタールとは
アリマンタシォン・クシュタール(Alimentation Couche-Tard)は、カナダのケベック州ラヴァルに本社を置く、1980年に設立の大手コンビニエンスストアチェーンです。
主にM&A(企業買収)を繰り返して成長してきた企業であり、2003年には日本の「サークルK」を買収しています。
現在では世界29カ国・地域で事業を展開し約16,700店舗を運営しています。
「サークルKがセブンを買収するなんて…」という声が上がるなどネット上では話題になりました。
セブン&アイHDは買収されるのか
セブン&アイHDは本当にアリマンタシォン・クシュタールに買収されてしまうのでしょうか。
買収される要素とされない要素をそれぞれ見てみましょう。
セブン&アイHDが買収される要素
1. M&A戦略のプロ
アリマンタシォン・クシュタールはM&A(企業買収)を繰り返して成長してきた企業であり、言うなればM&Aのプロです。
事業拡大のために必要とあらば、たとえ多額の費用が必用であっても買収に乗り出します。
例えば、2016年には米ガソリンスタンドチェーンの「CSTブランズ」に対して約44億ドル(当時日本円で約4420億円)という大型買収を成立させています。
洋画などで目にしたことがあるかもしれませんが、アメリカではコンビニエンスストアとガソリンスタンドが併設してある店舗が主流です。
アメリカでコンビニエンスストアをチェーン展開するためには、多額の費用をかけてもガソリンスタンドチェーンのCSTブランズの買収が必須であるという判断となったのでしょう。
コンビニエンスストアの日本市場獲得のため、今回も多額の費用を投じてもセブン&アイHDの買収に乗り出してくる可能性は大いに考えられます。
2. 高い時価総額
アリマンタシォン・クシュタールの時価総額は800億カナダドル、日本円にして約8兆5000億円の大企業です。
高い資金力を誇り、大手企業を無理なく買収することも十分可能です。
また、あくまで本業分野でのM&Aのため、株主の心証を害することなく買収を成立させることが可能でしょう。
セブン&アイHDが買収されない要素
1. 高い買収コスト時価総額
セブン&アイHDの時価総額は2024年8月時点で約5兆2千億円となっています。
アリマンタシォン・クシュタールがセブン&アイHDを買収するためにはその時価総額以上の資金が必要となります。
アリマンタシォン・クシュタールがいくら超大手企業とはいえ、容易に準備できる金額ではありません。
2. 反トラスト法(独占禁止法)
アメリカにおいてセブン&アイHDが運営するコンビニエンスストア「セブンイレブン」は約1万3,000店舗存在します。
そして、アリマンタシォン・クシュタールのコンビニエンスストア「クシュタール」、「サークルK」の店舗数は合わせて1万6,000店舗です。
もしこの2社が統合するとなると、反トラスト法(日本で言う独占禁止法)に抵触する可能性があります。
反トラスト法に抵触すると、賠償金の支払いが生じたり事業活動が制限されるため、反トラスト法に触れる可能性があるとなると、買収は成立しない可能性が高いです。
3. 外国為替及び外国貿易法(外為法)
外国企業が日本企業を買収する場合においては、日本国内の外国為替及び外国貿易法(外為法)という法律で規制されます。
もしその買収が日本国内において重大な損失を生む可能性があったり、国民生活への影響が大きいと判断されると国はその投資を変更したり中止したりすることができます。
今やコンビニエンスストアは国内インフラを支えるほどの存在となっていることもあり、セブン&アイHDはこの法律に基づき、投資をする前に届け出が必要な対象となっていいます。
つまり、国がセブン&アイHDに対してNOと言えば買収はできなくなってしまいます。
ちなみに、アリマンタシォン・クシュタールは過去にフランスの小売企業「カルフール」の買収を試みましたが、フランス政府の反対により断念しています。
買収が成立したらセブン&アイHDはどうなる?
もしセブン&アイHDがアリマンタシォン・クシュタールに買収された場合、どのようなことができるのでしょうか。
セブンイレブンのサービス改悪
セブンイレブンは店舗で商品が購入できる以外にも様々なサービスがあります。
・マルチコピー機
・宅配便サービス
・商品配達
・公共料金の支払い
など
もしセブン&アイHDが買収された場合、これらのサービスが収益に貢献していないと判断されたとすると、コスト削減のためにサービスが中止となる可能性があります。
イトーヨーカドーの事業縮小
食品スーパー「イトーヨーカドー」はセブン&アイHDの事業の中では不採算部門とされています。
現在はイトーヨーカドーの店舗数削減や衣料品部門からの撤退などの縮小化を進めつつ収益性の改善を図っています。
もしセブン&アイHDが買収された場合、これらイトーヨーカドーのさらなるコストカットがさらに進み、不採算が改善されなければ事業を分社化されてしまうという可能性も考えられます。
買収が成立したら株主はどうなる?
株価を失う
セブン&アイHDがアリマンタシォン・クシュタールに買収された場合、おそらくTOB(公開株式購入)が行われます。
TOBは市場を通さず株主から株を買い上げる行為です。
株主はこれに対して株の売り渡しを拒否すると、最終的には強制的に株を失ってしまうことになります。
TOBとなった時点で、今後の株を保有し続けるという選択はできなくなります。
利益を得られる可能性
TOBが行われた場合、TOB発表時点の株価より高い金額で企業が株式を買い取ってくれます。
株の買取はおおよそTOB発表直前の株価の約1.5倍前後の価格で買い取られます。
そうなると、株主の多くは利益を得ることになる可能性が高いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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