2024年3月29日。
それにより巷では、
「住宅ローンが上がるのでは」
と噂されています。
本日は、
マイナス金利解除でも
住宅ローン返済が
すぐに増えない理由
についてお伝えしていきます。
マイナス金利政策とは
マイナス金利政策とは、
”日本銀行の預金口座金利をマイナスにするという政策”のことです。
日本銀行にお金を預けることができるのは一般の銀行です。
つまり、銀行が日本銀行にお金を預けると金利がマイナス=預金が減っていくようになります。
そうなると、銀行は日本銀行にお金を預けると損をするため、企業や一般の人々への融資で資金を増やそうと心がけます。
その結果、お金が世に多く出回るようになります。
以上のことからマイナス金利の主な目的は、
- インフレ(デフレ脱却)
- 円安により輸出企業の活性化
の2つであると言えます。
マイナス金利解除の目的は
なぜマイナス金利政策をやめてしまったのでしょうか。
マイナス金利をやめた理由は、長く続けることにデメリットがあるからです。
そもそも、世界の歴史上マイナス金利政策をとった例は非常に少ないです。
一番古くは1972年のスイス、その次は2009年のスウェーデン、その後デンマークやEBC(欧州中央銀行)が続き、日本は5例目になります。
そして、日本のマイナス金利政策は2016年から約8年間、金融緩和政策(金利を抑えてお金を世に出回らせる政策)で言えば2008年から続けられてきました。
ここまで長く続けた例は他にありません。
マイナス金利のデメリット
マイナス金利政策のデメリットは、金融機関の弱体化です。
その理由は以下の通りです。
金融機関の収益圧迫
金融機関は日本銀行にお金を預けることで得られるはずの金利がなくなるどころか、反対に利息を支払うという事態になってしまいます。
また、日本銀行に預ける代わりに企業や一般の人々への融資に回したとして、融資である以上そのリターンは不安定なものとなってしまいます。
預金の減少
私たちが利用する銀行の預金の金利は国の金利をもとに決められます。
そのため、マイナス金利の下である現在の預金金利は、限りなく0に近いもになっています。
その結果、貯金による資産形成は実質できなくなるため人々の貯蓄が減少し、銀行の資金力も低下してしまいます。
金融機関の”貸し渋り”
上の2つの理由により金融機関が徐々に弱体化した結果、融資の”貸し渋り”が起きる可能性があります。
そうなると、企業や一般の人々がお金を借りることがむずかしくなってしまい、逆に経済の悪化を招く危険性があります。
住宅ローンの現状
現在住宅ローンを組んでいる人々の約7割は”変動金利”と言われています。
変動金利とは、
”融資において定期的にその金利が変わる方式”のことです。
今回のマイナス金利解除報道を受けて、
「住宅ローンの金利も上がるのではないか」
という噂がSNSなどで広まっています。
住宅ローン返済額がすぐに増えない3つのポイント
住宅ローン金利が今後上がる可能性はありますが、ローン返済額がすぐに増えることはほぼないと考えられます。
その理由は以下の3つです。
1. 短期プライムレート
住宅ローンの金利は”短期プライムレート(短プラ)”というものに連動しています。
短期プライムレートとは、
”金融機関が優良企業向けに短期(1年未満の期間)で貸し出す際の金利”のことです。
短期プライムレートは主に金融市場の金利動向(市中金利)に基づいて決定されています。
これまでの短期プライムレートの推移は以下のようになります。
西暦 | 最低値 | 最高値 |
---|---|---|
1989-1990 | 4.25% | 8.25% |
1991-2000 | 1.5% | 7.7875% |
2001-2010 | 1.375% | 2.125% |
2011-2020 | 1.475% | 1.475% |
2021-2023 | 1.475% | 1.475% |
これから分かる通り、短期プライムレートは1.475%が10年以上続いています。
日本がマイナス金利を行ったのは2016年なので、それ以前の金利0.1%の時から変わっていないということになります。
つまり、日銀の金利が上がっても短期プライムレートがすぐに大きく上がることは考えにくく、住宅ローン金利もすぐに上がる可能性は低いと言えます。
2. 5年ルール
仮に短期プライムレートが上がり住宅ローン金利が上がったとします。
すると返済額も増えるのかと言うと、そうではありません。
住宅ローンの返済額は5年間は固定されるというルールがあります。
正確に言えば、ローン金利は年に2回見直しが行われますが、それが適応されて返済額が実際に増減するのは、5年ごとになります。
3. 1.25倍ルール
仮に住宅ローン金利上昇を5年ルールにより5年間は免れたとします。
その後6年目から返済額が一気に上がってしまうのかと言うと、そうではありません。
住宅ローンの返済額が増える場合は、前回の支払いの1.25倍以下にするというルールがあります。
例えば、毎月10万円の返済をしていた場合、金利上昇により返済額が見直されても、最高で125,000円までしか上がらないということです。
注意すべきポイント
返済額がすぐ増えないのはローン契約済の場合
仮に住宅ローン金利が上がったとしても、すぐに返済額は増えないとお伝えしましたが、それはあくまでその時点ですでにローンを契約し、返済を始めている人の話です。
今後新たにローンを組む場合は、当然その時の住宅ローン金利が適応されます。
住宅ローン金利の決定権は金融機関
いくら住宅ローン金利が短期プライムレートに連動しているとはいえ、住宅ローン金利の決定権はあくまで銀行などの金融機関にあります。
短期プライムレートが変わらないと住宅ローン金利を変えてはいけないというルールがあるわけではありません。
例えばここ10年以上は短期プライムレートが変わっていませんが、住宅ローン金利は店舗間の価格競争により下がっています。
その逆もしかりで、短期プライムレートが変わらなくても住宅ローン金利を上げることは可能です。
まとめ
- 住宅ローン金利は短期プライムレート(短プラ)と連動
- 短プラはマイナス金利以前から10年以上も変わっていない
- ローン金利が上がっても5年ルールと1.25倍ルールにより返済額はすぐに増えない
- 今後ローンを組む人は金利に注意が必要
最後までお読みいただきありがとうございました。
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